乗務記録への記載対象の拡大について

今回は、貨物自動車運送事業輸送安全規則の改正内容である「中型トラック以上に記録が義務付けられている乗務記録への記載対象の拡大」について解説したいと思います。

1.改正内容(概要)について
2019年6月15日より、トラックドライバーが中型トラック(車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上のトラック)に乗務した場合、荷待ち時間等に加えて、集貨地点等でドライバーが行った荷役作業又は附帯業務(荷役作業等)についても乗務記録への記載対象として追加されることとなります。

2.改正の経緯について
トラック運送業界では、ドライバーの長時間労働の是正が喫緊の課題ですが、長時間の荷待ち時間の発生に加え、荷主との契約に定めがない荷役作業等の発生により当初の運行計画が崩れることが、ドライバーの拘束時間に関する基準を超過する状況を招き、コンプライアンスを確保した運行を妨げる一因となっています。

こうした状況を踏まえ、国土交通省では「貨物自動車運送事業輸送安全規則」を改正しました。

この省令改正は、トラックドライバーが車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上のトラックに乗務し、集貨地点等で積込み若しくは取卸し又は附帯業務(以下「荷役作業等」という)を実施した場合も、荷待ち時間等に加えて、乗務記録への記載対象として追加するものです。
※荷待ちについては、2017年7月に既に記載の対象となっています

今回の一部改正により、より詳細に荷役作業等の実態を把握することで、トラック運送事業者と荷主の協力による改善への取組みを一層促進すると共に、トラック運送事業者やトラックドライバーに対して過度な要求をし、長時間労働を生じさせている荷主に勧告等を行うにあたっての国の判断材料となります。

3.改正内容について
乗務記録への記載対象として追加する内容とは

(1)対象車両
車両総重量が8トン以上又は最大積載量が5トン以上の車両に乗務した場合

(2)対象作業
①荷役作業・・・積込み、取卸し
②附帯作業・・・荷造り、仕分、横持ち・縦持ち、棚入れ、ラベル貼り、はい作業

※荷主との契約書に、実施した荷役作業等が全て明記されている場合は、荷役作業等に要した時間の合計が1時間以上となった場合が対象となります

また、記録内容について荷主が確認したか、あるいは荷主の確認が得られなかったかについても記録対象となります

以上

今回の改正を受けて、記録対象となる荷役作業等が発生した場合は必ず「乗務記録」に記載し、最低1年間は保存する必要があります。