標準貨物自動車運送約款の改正について

今回は、平成29年11月4日に施行された標準貨物自動車運送約款の改正について解説したいと思います。

1.標準貨物自動車運送約款の改正の経緯について

国土交通省では、平成28年7月13日に立ち上げた「トラック運送業の適正運賃・料金検討会」にて適正運賃・料金収受に向けた方策等について検討してきました。そして、この検討会の議論を踏まえて標準貨物自動車運送約款の改正が行われることとなりました。

2.標準貨物自動車運送約款の改正の概要について

標準貨物自動車運送約款の改正では、以下のような規定を設けることで、運送の対価としての「運賃」及び運送以外の役務等の対価としての「料金」を適正に収受できる環境を整備することを意図しています。

(1)荷送人が運送を依頼する際に作成する送付状の記載事項について、「積込料」「取卸料」「待機時間料」等の料金の具体例を規定しました。

(2)荷待ちに対する対価を料金を「待機時間料」とし、発地又は着地における積込み又は取卸しに対する対価を「積込料」及び「取卸料」とそれぞれを規定しました。

(3)附帯業務の内容に「横待ち」「縦待ち」「棚入れ」「ラベル貼り」及び「はい作業」を追加しました。

今回の標準貨物自動車運送約款の改正にて、確かに、「運賃」と「料金」の区分は、明確化されたと思いますが、トラック運送事業者が適正運賃及び料金を収受するためには、今後の課題として、貸切バス事業のように公示運賃や公示料金を策定して、これを荷主に遵守させるなどの方策を採るなどの措置を進めないと単なる絵に描いた餅になってしまうおそれがあると思われます。

そのため、経営環境が厳しい中小のトラック事業者のためにも、標準貨物自動車運送約款の改正後には、適正な運賃・料金を確実に収受できる環境が整備されることを切に願っています。