改正貨物自動車運送事業法に基づく標準的な運賃について

先日の4/24(金)に改正貨物自動車運送事業法により設けられた「標準的な運賃の告示制度」に基づき、標準的な運賃の告示がなされました。

この「標準的な運賃の告示制度」は、一般にトラック事業者の荷主に対する交渉力が弱いことや、令和6年度から年間960 時間の時間外労働の限度時間が設定されること等を踏まえ、運転者の労働条件を改善し、トラック運送業がその機能を持続的に維持していくに当たっては、法令を遵守して持続的に事業を行っていくための参考となる運賃を示すことが効果的であるとの趣旨により設けられたものです。

また、標準的な運賃は、①トラック事業の能率的な経営の下における適正な原価に、②適正な利潤を加えたものを基準とし、原価の算定に当たっては、①トライバーの賃金を全産業の標準的水準に是正すること、②コンプライアンスを確保できことを前提としています。

1.運賃表の設計方針
①運賃表の基本
貸切(チャーター)を前提として、「距離制」「時間制」の双方の運賃表を策定しています。また、上限・下限の幅は設けず統一的な運賃を設定しています。
②車種等の違い
車種別(2t、4t、10t、20t)に設定し、ドライバン型のトラックを基準として算出しています。
→冷凍・冷蔵のバン型車については割増率を設定しています
③地域差
地方運輸局ブロック単位で運賃表を策定しています。
※地方運輸局ブロック単位の運賃表については、下記のURLをご参照ください
http://www.mlit.go.jp/report/press/content/001341909.pdf

2.運賃と料金の考え方
料金(待機時間料、高速道路料金、フェリー料金、燃料サーチャージ等)については、運賃表とは別に項目を規定しています。

3.「適正な原価」の考え方
①元請け・下請けの関係
実運送事業に掛かる原価等を基準に運賃を算出
②減価償却費(車両)
法定耐用年数とリース期間・融資期間等の実態を加味し、5年での償却を前提に算出
③人件費
全産業平均の時間当たりの単価を基準
④間接費(一般管理費等)
トラック運送事業の平均値を使用
⑤借入金利息
営業外費用として適正な原価に算入
⑥帰り荷の取扱い
実車率50%の前提で算出

4.「適正な利潤」の考え方
経常利益(営業外収入を除く。)として一定水準確保できるよう、自己資本に対する適正な利潤額を算出しています。

以上